第26回 武家料理だった「こづゆ」

2005年10月25日

行楽シーズン到来です。行ってきました芦ノ牧温泉。いわきもいいですが会津もいいですね。バスでお迎えに来て下さった旅館の上野さんが、「うちの旅館の御飯は最高に美味しいですからね」と太鼓判をおされたように、ご飯もとても美味しかったです。なんで福島の米はこんなに美味しいんでしょう。前夜の宴会でいただいた山のような御馳走でお腹は空いてないのに、朝食バイキングでは、御飯をしっかり食べてしまいました。旅館の方も景気良く山盛りによそってくださって、それをぺロリと食べてしまうひでむすは、一体何物?って感じです。会津御自慢の郷土食「こづゆ」も素朴な味で美味しかった。お味噌汁の横にさりげなく出ていて、おお、あるじゃん、こづゆ!って嬉しくなってしまいました。秋の紅葉を眺め、ゆったり温泉につかる。「ああ、日本人に生まれてよかったな~」と心から感謝する瞬間です。大川の水音を聞きながら、ゆったりとした時を過ごし、日々の暮らしから離れて最高の贅沢をさせてもらえました。それにしても、お土産に持って帰りたかったなぁ、お宿自慢の会津の旨いご飯で握ったおむすび。
さてさて、会津御自慢のこづゆですが、もともとは京都の守護職であった会津藩が京からのお客様をもてなす為の武家料理だったそうで、薄味で具の大きさも小ぶりな上品なお味でした。帆立の貝柱と塩少々、野菜や山菜の旨みがググッと出ているこづゆ。会津塗りの平たくて小ぶりな専用の御椀で食べるのも、楚々とした感じがいいですね。現代では、郷土料理として一般市民も食べることができますが、武家時代は超ウルトラ贅沢料理だったわけですから、幸せな事に、現代人は最高のおもてなし料理をいつでも食べる事が出来るわけですねぇ。
暮らしぶりも大名より、イエイエ殿様より贅沢になってしまいました。紐をひっぱれば電気がつく、蛇口をひねれば水が出る、ついでにお湯まで出てくるんですから、殿様もビックリっていうところでしょうか。箱の中で人が話したり動いたりするテレビを見たら殿様はなんて思うでしょうかね?自動車も驚くでしょうが、飛行機なんて乗ったら卒倒しちゃうかも…なんてバカな事をお喋りしながら、下野街道跡のひっそりとした風情に、「ここを参勤交代の時、わらじを履いて徒歩で歩いたんだよね」と昔人の交通手段を偲び、、ひとっとびで山を駆け抜けるスピード文明の利器に乗りながらも、日々忙しがっている己を顧みる旅となりました。

************************

 秋の味覚、サツマイモのミカンジュース煮(4人前)

************************

材料
 サツマイモ500g、 塩小さじ半分、ミカンジュース2カップ。

作り方
 1、 サツマイモを1㌢程度の輪切りにして鍋に並べ、ミカンジュースと塩を入れて火にかける
 2、 弱火でコトコトと水気がなくなるまで煮切る

<コメント>

今回のレシピは、サツマイモのレモン煮というのを意識して誕生しました。今の時代、レモンって防カビ剤やらなんやらかやらと、純粋に使う気になれないんですよね。ましてや皮ごと使うのは、国産のレモンと思うと、季節も限られますし。なかなか入手できない。で、オレンジジュースで煮てみたらどうなるの?って思いました。細めのサツマイモを鍋に並べて、オレンジジュースをヒタヒタに注ぎ、ちょいと塩を入れて煮てみたら、思った以上に美味しくて、おやつにオオウケ。これは早速我が家の簡単レシピに入れちゃうぞーと仲間入りしたんです。本当に簡単ですが、ジュースを全て煮切るのがコツかな。焦がさないように弱火でコトコト煮て下さいね。お塩をいれないと、なんだかマヌケな味になります。ほんのちょこっと入れるとGOOD!(笑)