第60回 「見ばえ」より「本物」を

2006年7月11日

 「それでは鏡開きにまいります。どうぞ皆様も掛け声の御協力をお願いいたします。」盛大な掛け声と共に威勢良く振り下ろされる木槌。沸き起こる拍手…。600名からなる大宴会の会場です。「すごいね~、3樽も用意したんだ~」「美味しいんだよね、樽をあけたばかりのお酒って。木の香がしてさ~」「枡で振舞われるのかしら」「うん、楽しみだねぇ…」
 が、待てど暮らせど酒はこない。「スミマセン、樽酒は…」「後程お持ちいたしますので少々御待ち下さい」。さらに、待てど暮らせど酒はこない。「ちょっと様子を見てくるわ」と待ちきれず席をたった友人。足早に席に戻るやいなや「ちょっと、ボールだよ」「?」「ボールなのボール」「なにが?」「樽の中にね、ボールが入ってて、そのボールの中に酒がちょこんと入っているだけなのよ」「え~、ホント?」さっそく我が目で確かめにいきました。大きな樽の中にステンレスのボールが組みこんであり、その中にお酒が入っていたらしい様子が伺えました。「なんじゃ、これ…」。
 木樽の中になみなみと満たされた地酒のふくやかな香り。時を超えて熟成された米の旨み。一瞬で消し飛んだ樽酒の夢。見かけは樽でも中身はステンレスですか~。なんだかガッカリ。「結婚式の披露宴でやるケーキカットと同じね…」あれも、見かけはすごい豪勢なんだがケーキカットする部分だけスポンジで後は作り物。
 確かにセレモニーを盛り上げるには絶大な効果があります。偽樽酒も巨大なウエディングケーキもね。一見、景気よさそうに見えますもの。がねぇ、見かけだけの演出はそろそろやめて、本当のものに戻していってもいいんじゃないかなぁ…。小さくてもいい、少なくてもいい、食事も衣類も環境も。普段の生活を少しずつでもいいから本物にもどしていきたいと毎日取り組んでいるひでむすです。

□■□  ネギと油揚げのササッと煮  □■□

<材料>
☆ ネギ…3~4本 油揚…1枚
☆ 水…100cc 醤油、味醂…各大さじ2

<作り方>
1、ネギは斜め細切り、油揚は一口大に切る
2、材料を全て鍋に入れ落し蓋と蓋をし、強火にかける
3、煮立ってきたら弱火にしてコトコトと汁気か無くなる
  まで煮きる
☆ お惣菜にも酒のつまみにもなる1品です。

<コメント>

 まがいものが多すぎる。世の中イミテーションばかり…。そんな中で暮らしているから、健康も思想もイミテーション化しちゃってるのかも…。
 すばらしく立派なウエディングケーキ、すっごいなーと思っていたら、ケーキ入刀のところだけスポンジ。オイオイちょっと待ってくださいよ~と思っていましたが,なんと樽酒も中はステンレスのボールで上げ底。これでいいんかニッポン文化と思ってしまいました。
 見かけだけよければいい、この場さえすぎてしまえばいい、安ければそれでいい…。そんな発想が偽者志向天国のニッポンを生み出したのでしょうね。
 選ぶの自分です。どっちをとってもだれも文句は言わない…  貴方はどっちの人生を選びますか?
 今日の元気の素レシピエッセイは、そんな思いで書きました。
 料理の方は醤油大さじ2ではちょっと辛いかも…。お昼のお弁当の頃にちょうどいい味になっているレシピです。(本物の調味料って味が時間と共にかわるのよね~)