第69回 超貴重品だった長寿食

2006年9月26日

 紅葉のシーズン到来。色とりどりに着飾った自然がかもしだす美しいファッションショーの始まりです。春の桜も綺麗ですが、壮大なスケールの燃えるような山々の紅葉も見逃せません。オムスビ持って、水筒にお茶をつめて、「さあ出かけようもみじ狩り~」ってなもんです。最近ではオムスビといってもバリエーションいっぱい。が、塩でにぎって海苔を巻いたシンプルなものが好きなんだな~。何とも言えないおむすびから漂う海苔のかおり。ああ、ヨダレが…。
 この海苔の歴史は随分古く、海苔という言葉がなかった随分昔から食用とされていたようです。最も古い記述は『陸奥国風土記』(むつのくにふどき)にある日本武尊(やまとたけるのみこと)の歌とやら。なんだか歴史とロマンを感じますね。平安時代では、位の高い貴族に限って支給された超貴重品で、庶民には無縁のものだったようです。紫菜(のり)神仙菜(あまのり)とも書かれ、平安末期ころから『甘海苔』、そして江戸時代に『海苔』となりました。『神仙』というのは古代中国の不老長寿の神人の事。平安の時代と違い、平成の現代では気楽に入手できるようになった海苔を食べて不老長寿にあやかりたいものです。
 今おなじみの海苔は江戸時代に浅草紙の紙すきの手法をまねて考案されたもので「浅草海苔」として全国にひろまっていきました。江戸時代には、隅田川の清流を利用し、紙すきが盛んに行われていましたので、ノリすきはそれにヒントを得て考案さされたのですね。海苔を食べる習慣のない西洋人は「日本人は黒い紙を食べている」と驚いたようですね。黒色の食品というのは世界の食文化のなかでも珍しいものですからね。この長寿食として注目の海苔、戸棚の隅で眠っていましたら佃煮としてよみがえらせてはいかがでしょう。とっても簡単だし、新米には最高の相性です。あったかご飯に海苔つくだに、お味噌汁…。ああ、ニッポンのご飯ってスバラシイ!

□■□  海苔つくだに  □■□

<材料>
☆ 海苔5帖、水100cc
☆ 醤油、お砂糖 各大さじ1

<作り方>
1、調味料を鍋にいれて火にかける
2、砂糖が溶けたらちぎった海苔を入れ
  箸で混ぜながら水気を煮切る
3、冷めてから瓶に詰める

<コメント>

 海苔ってお葬式とかでよくもらいませんか?ついつい古くなっていたりして、湿気た物って美味しくないですよね。なんでもサッサと美味しいうちに食べるのが一番、のりの佃煮も、湿気たものではなく新しいもので作った方ががぜんオイシイです。
 コツはたいしてないのですが、海苔を大雑把にちぎると出来合いも大雑把。細かくちぎると結構良い感じです、これはもうお好みでどちらもOK。あま~いのがお好きな方は、お砂糖をもっといれてもいいかもしれませんが、砂糖の取りすぎはよくありませんね。ここは1つ海苔本来の美味しさを味わっていただきたいものです。