【おかげ様の教え】86話 心をすませば…

2020年3月21日

『心をすませば
 聞こえてこよう。

 木や草や、語れぬ
 者達の心の声が。

 よいか、耳で聞くのでは
 ないぞ。心をすますんじゃ…』

確かに、一度だけはっきりと桜の声が聞こえた事があります…

「つらい、つらい………」と。

もう何年も前の事です。
枝垂れ桜として有名になってしまったその桜の声は、本当に辛そうでした。

引越し先で、その桜のことを知ったひでむすは、毎年楽しみに開花した桜さんに会いに行ってました。

田舎の土手に、満開に咲き誇る堂々とした姿はとても美しく、感動を呼ぶほどの見事さでした。

そのうち駐車場ができ、土産物屋が並び、柵が張られ、夜もスポットライトを浴びるようになった頃、その声は聞こえてきました。

「つらい、つらい」と。

早朝のため、その時周りには誰もいませんでした。
どう考えても、桜さんの声です。

桜さんの辛さに同調してしまったひでむすは、その後、その桜さんに会いに行けなくなってしまいました。

その頃からでしょうか、地球という星は、なんでも提供してくれるのに、我々は愛でることをせず、我欲に走ってしまうのだろうかという意識を持ちはじめたのは………。

最近は、なんとなく動かないものたちの声が聞こえるような気がします。
彼らは訴えかけている。

「愛して」って。

人も、物も、そして自然も自分も、全てを愛する知恵と知識と行動の練習をはじめたひでむすです。(練習中の初心者ワッペン)