第29回 腸を活性化する食物繊維

2005年11月15日

収穫の秋。きのこやクリ、油ののった魚など何気なく普段口にしている美味しい食べ物。自然の恵みとして有難いものです。が、免疫学的に見ると、食物は自己以外の異物としてカラダは認識してしまいます。この異物を消化吸収し、自己の一部として同化していく仕組みを消化吸収と言うわけですね。小腸はその中でも最前線の消化器官。約3~4mもあり、リトルブレイン(小さな脳)と呼ばれるほど外界からの刺激を受けやすく、過労やストレスに弱いことでもよく知られています。緊張でお腹が痛くなった経験ってありませんか?人間のカラダってデリケートなんですね。
小腸の内面を覆っている上皮細胞の数はなんと250億個もあるらしいですよ。「数えた人は大変だったろうなぁ」と純真に思っていた遠い昔が懐かしいです。消化に必要な消化酵素は1日おおよそ8L。食べたものの約3倍にもなり、消化作用が終わると栄養素と共に腸壁から吸収され、毛細血管を通って全身に運ばれていきます。 文句も言わず、知らない内によく働いてくれる内臓さん達。見えない部分だからこそ大事にいたいものですね。それには普段からお腹に優しい食事を心がけるのが一番。食物繊維は、腸の働きを活性化する代表選手。消化吸収こそされませんが、小腸の動きを活発にしてくれる大切な物です。
この食物繊維。水溶性の物と不溶性のものと2種類あるのを御存知でしたか?水分を吸収し、排泄物を適度な柔らかさにして体外に排出してくれるのが不溶性の食物繊維。穀類や豆、牛蒡、人参、ホウレンソウ等の野菜はお馴染みの食物繊維が多い食品ですね。大豆を発酵させた味噌、醤油も優れた調味料です。一方、ヌルヌルした粘りがあり、腸壁を傷つけないで老廃物や発癌物質等を包み込んで排出してくれるのが水溶性。ヌルヌルは多糖成分によるもので、昆布、わかめ、ひじきやもずく等に含まれるアルギン酸、果物に多いペクチンやコンニャクに含まれるグルコマンナン等があります。今、大ブームのテングサも見逃せないですね。食物繊維は善玉菌の餌になって腸内常在菌のバランスを整えてくれる作用なんていうのもあり常に食卓に登場させたい物です。
さて、きょうは腸内メンテナンスを兼ねて旬のリンゴと葛のおやつといきましょうか。

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 塩リンゴの葛あんかけ(4人前)

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材料
 リンゴ2個 塩小匙4分の1 白ワイン大さじ1 葛大さじ3 100%りんご果汁300cc

作り方
 1、 リンゴの皮をむいで串に切り厚手の鍋に入れる
 2、 白ワインと塩を振り入れて弱火で水気が無くなるまで煮きる
 3、 りんごジュースで葛を溶いて火にかけて練り、透明になったら煮リンゴを混ぜる

<コメント>

 今日のレシピは、お腹のお掃除に最適。便秘の人にも、お腹の調子の悪い人にも最適です。リンゴはすこーし塩をして煮ると、甘くなり、お砂糖を使わなくても、とても美味しいりんご煮が出来ます。弱火で気長に煮ていくといいですよ、兎に角美味しさの秘訣は煮きる事。今の日本人はお砂糖を使いすぎ。甘味はとても美味しく感じるので、ついつい使っちゃいますが、とりすぎは健康にはよくないのよね。ひでむすのうちでは、リンゴジュースではなく水で葛をといて作ります。市販のおやつに口がなれている方は、ちょっと物足りないかも…。で新聞には、リンゴジュースで掲載しました。葛は完全に溶かしてから火にかけないと、見るも悲惨な状況になってしまいます。練っていくうちに、綺麗な透明になりますので、簡単に練りあがりが分ります。煮りんごを混ぜてアツアツをどうぞ…。