第119回 着物の縁、美感伝える

2007年12月11日

 「以前はね、成人式やゆうていっぺんに振袖はつくりませんでした。小学校時代に着物、中学で帯、高校で小物、高校を卒業するときに草履とバックを揃えて19歳の厄をこの長い袖で祓うというので振袖で成人式を迎えます。将来の伴侶も一人でええ。本命以外は袖にする、悪い虫は長い袖で追い払う、だから打掛と振袖は袖が長い。両家をこの長い袖でしっかり結ぶという意味で未婚の女性の正式な着物の袖は長い。」伝統箔匠木村幸啓氏の講演会を聞きながらなるほどと納得しました。
 「着物や帯はね、お金をもって買いに行くんじゃないですよ。5つの糸がいります。一つ目の糸は紹介者。2つ目の糸はその物との縁。納得したうえで縁が結ばれたら納品。そして最後にくるのが紙。つまり紙幣=お金のことです。みんな糸偏、糸で結ばれたご縁です。」
 年頃になってきたわが家の娘。振袖は着物が大好きな仕事をしている友人がいるのでその方のお世話になろうと決めています。これがご縁というものなのでしょうか。物との縁、人との縁、成人を祝う我が子の晴れ着はどちらのご縁も大切にしたいものです。
 「世界の中で着物を着るのは日本人だけです。相手を持ち上げ一歩さがる日本の文化、着物は前を飾らず後ろを飾る。この着物も7つの組み合わせで美感を競っています。その7つとは着物、帯、帯締め、帯揚げ、襟、そしてヘアとメイク。」
 日本人が最も美しく見える着物。素晴らしい文化も着る人が少なくなり伝統の技の継承が難しくなってきていると伺いました。「とにかく着物を着てほしい。それが唯一、日本の伝統文化を守ることになります」という匠の言葉に大きく頷いた次第です。
 今年のお正月は着物で過ごそうかなと思うと同時に伝統伝承という言葉を改めて学んだ講演会でした。

□■□  揚げ出し豆腐  □■□

<材料>
☆ 豆腐2分の一丁、片栗粉適量
☆ 揚げ油適量、大根100g
☆ 青ネギ、生姜、おかか

<作り方>
1、水切りした豆腐に小麦粉をまぶし、キツネ色になるまで
  揚げる。
2、大根おろし、小口切りにした青ネギ、すりおろした生姜、
  おかかをのせ醤油をかけてアツアツを食べる。